本年度は、当初予定では米国法における問題を検討対象とすることにしていたが、EUにおいて、本申請とほぼ内容を同じくするプロジェクトが、マックスプランク外国私法国際私法研究所・ルーヴァンカトリック大学(ベルギー)・パリ第2大学の共同研究として、EC委員会の資金援助を受けて進行中であることが判明し、急遽、研究代表者(長田)は同プロジェクトと連携してEUでの議論状況の調査を主として行うこととした。この連携により、同プロジェクトが開催したリサーチセミナー、シンポジウムに参加することができた。結果、研究課題に関して、EUでいかなる点が議論されているのかという点についての知見を広める一方、それまでの研究で生じていた疑問点を同プロジェクトのメンバーに直接確認するなどすることができた。さらに同プロジェクトのメンバーからの協力を次年度以降得ることについて、確認できた。初期の段階でこのような機会を得たことは今後研究を進めていく上で、非常に大きな財産になるものと思われる。 研究分担者(武田)は、計画通りに、米国における国際カルテル事件にかかる調査を進めており、かなりのデータをすでに収集済みである。今後この資料の分析を進めていきたい。 研究分担者と研究代表者との共同作業もこれまでに引き続き行ってきた。できるかぎり週1回のペースで研究の進捗状況に関する意見交換を行った。それと同時に、最低月1回、多いときには週1回のペースで収集した資料についてお互いに報告し合い、米国における重要な判例やEUにおける重要判例および議論状況、立法の状況について知識を共有することにより、長田にとっては経済法の視点から、武田にとっては国際私法の視点からの示唆を得ることができた。 研究成果の公表については、いまだ本研究についての詳細な成果を公表できる段階ではないため、いわばバックグラウンドとしての経済法一般、国際私法一般にかかる公表物が中心となっている。
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