本研究は、告知者のための訴訟告知という本来の制度趣旨を基盤として、参加的効力を既判力の特殊形態=当事者間の訴訟物の有無について生じる既判力の付随的効力である遮断効と位置づけ、このような既判力による遮断効が、特定の争点について共同戦線を張るべき告知者・被告知者間に限定して、主観的に拡張されるという理論的な再構築を目指すものである。 平成21年度においては、本研究の目的を達するために従来の法律解釈学が採った方法により、多数の文献を閲読・咀嚼したうえで、精緻な理論を法解釈において展開・構築することに努め、平成19年度科研費(基盤研究(C);19530064)「民事執行における詐害行為取消権の適用問題」の研究成果として世に問うた坂田宏「訴訟告知の効力に関する一断章」青山善充先生古稀祝賀論文集『民事手続法学の新たな地平(有斐閣、2009年4月刊行)を一里塚として、訴訟告知を巡る諸問題を整理するための資料を集めつつ、先行研究においてなされてきた議論の主眼点を探った。 図書資料については、日本の民事訴訟法に関する図書で主に既判力を論じるもの、及び、日本の民事訴訟法の母報告であるドイツにおける訴訟参加を論じたものを中心に選定するとともに、関西学院大学に出張して訴訟告知に関する文献を渉猟した。 インタビューについては、日本民事訴訟法学会大会や法科大学院協会総会の機会に民事訴訟法研究者に時間を割いていただく形で、情報を収集した。 なお、ノートパソコンは、上記資料収集やインタビューの際に用い、また訴訟告知に関する諸判例を収集・解析することに用いた。
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