本研究は、3ヶ年にわたり、告知者のための訴訟告知という本来の制度趣旨を基盤として、参加的効力を、当事者間の訴訟物(訴訟上の請求)の有無について生じる既判力の付随的効力である遮断効(失権効)が、特定の争点について共同戦線を張るべき告知者・被告知者間に限定して主観的に拡張されるものとして理論的に再構築し、その要件論である補助参加の利益概念を抜本的に問い直してきた。 平成23年度においても、過去2年間の研究の蓄積の上に立ち、従来の法律解釈学が採った方法により、訴訟告知制度にきわが国の文献のみならず、ローマ法及びドイツ法の文献も繙きながら、再構築された訴訟告知制度の全容を把握するようにと努めた。その結果、訴訟告知による参加的効力の要件である補助参加の利益概念につき、概略、以下の骨子で考えてゆくべきではないかという方向性を見出した。 (1)告知者のための訴訟告知が参加的効力をもつためには、参加人と被参加人との間に共闘関係が存在しなければならないが、最も典型的な例は、当事者たる被参加人が勝訴するに足る証拠を提供するという協力であって、この証拠を提供できないときに参加的効力の根拠が存在することになる。 (2)補助参加の利益に関する議論において近時通説化しつつある「訴訟物非限定説」によれば、法律上の利害関係は、前訴判決の理由中の判断が後訴における補助参加人の法律上の地位に影響を及ぼす場合にすべて認められることとなり、参加的効力を画する機能を果たしていない。 (3)そこで、訴訟告知による参加的効力の要件を「補助参加の利益」と「求償・賠償関係」あるいは「証拠における協力関係」と解することも考え得るが、条文との平仄に欠ける。むしろ、判例が固執する「訴訟物限定説」に立脚しつつ、解釈論を推し進めてゆかなければならない。 以上の考察に基づき、平成24年5月末までに、Webページ(下欄参照)において、研究成果を世に問う予定である。
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