第二年度は、各所蔵機関での現物調査を引き続きおこないながら、中心とした基礎データの収集と分析作業をおこなった。特に、学術振興会旧蔵の資料を有する一橋大学での資料収集と分析を中心に、法務図書館所蔵の関連資料を収集した。また、引き続き、所蔵先・簿冊名・丁末表示・奥付・写了日(記載あるもの)等のデーター覧も作成している。もっとも、他の大学における所蔵状況の調査については、京都大学等で行われていた耐震対策のための改修工事と調査が重なったことなどから、最終年度に調査する必要がある。 今年度の調査において特筆すべきは、法務図書館に所蔵されていた資料の中に、明治民法典の編別構成に参考とされたザクセン民法典の翻訳を発見できたことである。ザクセン民法典の翻訳は、印刷・発行されることが予定されていたが、結局公表されずに草稿のまま旧司法省に所蔵されていたわけである。その活用は、関係当事者にかぎられていたと思われるが、訳語の採用やその位置づけなどについて、法典調査会での審議にどのように活かされたか、検討する必要があろう。 今後は、すでに作成したデーター覧を整理するとともに、今年度に調査することができなかった大学の所蔵状況を調べる予定であり、あわせて、全体像について考察することとしたい。
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