最終年度は、各所蔵機関での現物調査を引き続きおこないながら、中心とした基礎データの収集と分析作業をおこなった。初年度に耐震工事の為に閲覧を許されなかった京都大学での資料収集とその分析、慶應大学と早稲田大学での資料収集とその分析を行うとともに、初年度に端緒的な調査検討を行った東北大学において資料調査とその分析も行った。データー覧は作成していが、特に8セット(実際は9セットあることがこの研究で明らかになった)全体についての考察を行うことができたことはこの研究の成果である。 今年度の調査において特筆すべきは、京都大学で資料が受領された日を知ることができ、少なくとも民法議事速記録の8冊分については受領日が異なっていることから、バージョンの違いについての一定の見通しがついたことである。 また、慶應大学所蔵の資料全冊が、グーグル・ブックスにおいて公開されていることを知った。各大学の資料については多く準貴重書扱いとなっており、アクセスに困難を持つこともあったが、今後は、研究者のみならず容易にその一部に触れることができるようになったことは、重要であろう。 ともあれ、一般に公開されたとしても、適切な解説・リファレンスがなされなければ十分な活用はみこせない。すでに作成したデーター覧を一般に公開するとともに、本研究で確認できた全所蔵機関における諸情報について、成果として公開できればと考えている。
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