(1)現在ドイツ、ヨーロッパで制定、起草されている民法、民法草案の各ルールおよびそれらに関する注釈、判例、学説を検討し、日本民法の各規定および債権法改正のための基本方針に盛られたルールと比較したうえで、日本民法典の現代化に資するための資料を作成することが本研究の目的である。現在進められている日本の債権法、家族法の改正作業を比較法的な観点から検証することを目的とする。 (2)財産法の分野については、ドイツ新債務法制定後7年間のドイツの学説、判例の展開をフォローし、日本債権法改正のための基本方針に盛り込まれた新ルールとの比較研究の成果を公刊した。ドイツの意思表示論(錯誤、詐欺、強迫)の新しい展開と日本の債権法改正のための基本方針で提案された新ルールとの比較研究は、現在進めているところである。その他危険負担論、サービス契約論についても研究成果をまとめた(近日中に雑誌に掲載)。 (3)家族法の分野については、今年度は若干の文献を集め、インターネットにより資料をダウンロードしただけにとどまったが、ドイツの新扶養法、子供の連れ去りに関するハーグ条約に関する資料がかなり集まっており、次年度以後はこれらの訳読、検討の作業に入りたいと考えている。 (4)今年度夏休みにドイツボッフムに短期留学し、ドイツ関係の資料を収集、邦訳するとともに、ドイツの学者の有益な話しを聞くことができた。
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