近年バブル経済崩壊に伴い、金融機関の破綻が相次いでいる。これは護送船団行政のもとでは無かった事例である。また破綻した銀行の旧経営陣に対し、乱脈経営や違法取引にたいし責任追及する訴訟が提起されている。その際銀行取締役と一般事業会社の取締役は、注意義務について、同じ内容の義務を負っているのだろうか。融資取引には、一面では顧客にとって、金融商品取引以上の意味を持つ。同時に不特定多数の預金者から預かった預金を基に融資取引を行う銀行は、その回収にも大きな責任を負っている。特に金融機関の破綻のもっとも大きな要因は、融資債権の不良債権化である。護送船団行政のもとでは金融機関の破綻はほとんど無かったが、金融自由化が進展し、バブル経済が崩壊した状況の下では、金融機関の破綻が頻発した。金融機関の破綻は、それだけに止まらず、金融システム不安を引き起こす可能性があり、破綻処理には公的資金が導入される。アメリカでは、我が国より一足早く1980年代以降金融機関の破綻が相次ぎ、破綻した金融機関を引き継いだFDICが旧経営陣に対し責任追及の訴えを多数提起した。その中でFDICは旧経営陣に対し、銀行(貯蓄金融機関)破綻の責任追及の訴えを起こし、多数の判決が出ている。
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