本研究の目的は、日本の民事訴訟制度に関する一般市民の意識を調査し、先に実施された民事訴訟の利用者調査と比較すること、および2003年に本調査と同様な形で実施された意識調査との経年比較を行うことにより、民事訴訟制度改革のための基礎資料を提供することにある。21年度前期においては、調査票および調査計画の作成をなした。調査票の作成にあたっては、2003年度実施の意識調査の調査票を再考の上、これとの対照を可能にするような調査票の作成を行った。また、これと並行し、11月初旬に調査を実施するための調査実施計画を作成した。その計画にしたいが、11月2日から当初約3週間の予定で、全国20都市、各200人合計4000人に対する郵送調査を実施した。この調査計画も、2003年に実施した先行の調査になったものである。ただし、実際の回収期間は想定以上(2003年調査)に長引き、回収が年度末までに及んだが、その結果、1605件(回答率40.1%)の回答を得ることができた。この回収率は2003年の調査よりも遙かに高かった。年度末には、調査会社よりデータの納品を受け、それらデータをSPSSデータに変換しコード化をなした。 また、これらの成果をもとに、2月には研究協力者である、アメリカ合衆国カルフォルニア州のRANDコーポレーションのニック・ペース研究員を尋ね、分析の手法等についてのディスカッションを行い、分析方針を検討した。 調査期間が予想以上に長引いたため、年度内に分析を実施することはできなかったが、その分、上記のように高い回収率をおさめることができたことから、22年度はそれらのデータに対する詳細な分析を実施する予定である。まずは、今回の調査結果の概要を明らかにし、その後に2003年度調査との比較、2006年度に民事訴訟制度研究会が実施した2006年民事訴訟利用者調査の結果との比較検討を行う予定である。
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