わが国では、個別財産を担保目的とする法制度は種々存在するものの、個々の財産が一体となって経済的効用が生み出されているような場合に、そうした集合体を包括的に担保目的とすることについては、立法に不備が残されている。そうした状況にあるわが国の担保制度を再構築するための手がかりがUNCITRAL担保立法ガイドには、種々存在する。たとえば、種々の担保手段について、その形式の如何を問わず、実体にそくして担保権として把握することを旨としていることが注目される。このことは、種々の目的財産や担保手段を統合する包括担保を志向するうえでは必須のものといえる。とりわけ、所有権留保やファイナンス・リースを包摂した担保法体系の構築は、わが国の解釈論にも大いに参照されるべきものといえる。また、倒産手続下における担保権の処遇や、司法手続外での担保権実行の道筋を描いているところは、わが国の非典型担保の解釈論、立法論に不可欠のものと解される。
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