研究課題/領域番号 |
21530084
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
前田 雅弘 京都大学, 法学研究科, 教授 (50240817)
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キーワード | 定款自治 / 公開会社 / 機関設計 |
研究概要 |
平成17年制定の会社法は、全株式譲渡制限会社と公開会社とで、相当に異なった規律を採用しており、その違いの多くは、全株式譲渡制限会社について、公開会社には認められない定款自治を認めるという点に存する。そこで本研究は、大きくは全株式譲渡制限会社と公開会社とに区分をして検討を進めている。昨年度までは、全株式譲渡制限会社を対象とし、機関関係の問題および株式関係の問題を中心として考察を行ってきたが、本年度からは公開会社を対象とすることとし、特に本年度は公開会社の機関関係の問題について、主に次のような問題について考察した。 第1に、公開会社である大会社は、現行法の下で、監査役会設置会社または委員会設置会社のいずれかの機関設計を選択することができ、平成14年改正は、これらの2つの機関設計の間で「制度間競争」が行われることを期待していた。しかし委員会設置会社の制度は、よく練られた合理的な制度であるにもかかわらず、その利用は思うように進んでいない。本研究では、その原因は何であり、法律によって制度の利用を促進できるのであれば、必要な手当てをすべきではないかという問題について考察を行った。 第2に、現在、次期会社法改正に向けた議論が進行中であり、その中では企業統治のあり方が見直しの対象とされている。特に一定の範囲の会社について社外取締役の設置を義務づけるべきではないか、および機関設計の選択肢を増やし、監査・監督委員会設置会社の制度を導入すべきではないか等の問題が議論されており、本研究では、これらの問題について考察を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
次期会社法改正に向けた議論については相当の新たな知見を得ることができた。しかし、監査役会設置会社および委員会設置会社の両制度間の「制度間競争」がなぜ期待通りに進んでおらず、委員会設置会社について立法によってどのような改善をなしうるかについて十分に考察を進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
委員会設置会社の制度の改善に向けた考察を進めるともに、次期会社法改正に向けた議論、とりわけ社外取締役の設置義務づけ、および監査・監督委員会設置会社の制度創設について、法制審議会会社法制部会における審議状況も注視しつつ、さらに考察を進める。
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