概ね交付申請書に記載したとおり、研究を進めることがてきた。具体的には、米国のニューヨークに所在するニューヨーク大学、コロンビア大学、フォーダム大学およびペイス大学のロースクールを訪問し、研究者との意見交換や研究資料の収集などを実施した。帰国後、資料整理等を行った上で、更にその後、同じく米国のシアトルに所在するワシントン大学ロースクール等を訪問し、会社法その他の研究課題に関する法学者との意見交換を実施し、あわせて大学図書館での資料調査も行うことができた。 今回の2度に渡る米国訪問によって、米国を代表する諸大学の研究者と幅広い分野で意見交換が実現でき、今後の研究を進める上で極めて大きな足がかりが固められた。しかも、今回の訪米では、会社法を中心としながらも、とくにワシントン大学では、契約法、税法、知的財産法にも関わって、多くの研究者との交流ができた結果、本研究課題に取り組む上で有力な情報源を得たという意味でも、海外出張はきわめて有意義であったということができる。 これらの海外での研究成果は、「会社法における事業の重要な一部譲渡」(『商法学の諸相』成文堂)としてすでに論文の形になっており、春の刊行に向け作業が進行中である。また、今回既刊の研究成果としては、「会社分割と事業譲渡規制の類推-商号続用責任を中心として-」(阪大法学59巻2号1頁以下)および「事業の重要な一なの譲渡と株主総会の特別決議」(会社法の争点198頁以下)が既に公表されている。
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