本研究は、国際倒産における債権者の平等をいかにして図るかという問題について、弁済調整に関する規律を比較法的に検討することによって考察するものである。 国際倒産では複数の国で倒産手続が進行する場合があり得る。その場合、たとえば、複数の国で配当得た債権者とそうでない債権者では、不平等が生ずることになる。その他の規定として弁済調整(ホッチ・ポット・ルール)に関するルールがある(破産法201条、民事再生法89条、会社更生法137条)。 この規定は、最近の立法によって設けられたものであり、その役割などを比較法的、歴史的に検討する必要がある。しかし、我が国ではこの点について詳細に検討した文献などはない。 そこで、平成23年度の本研究は、アメリカ合衆国における連邦倒産法の改正、UNCITRALモデル法をめぐる判例・学説の文献の検討を行うと共に、ドイツにおけるこの分野の権威であるレーゲンスブルク大学ペーター・ゴットヴァルト教授に対するインタビューを行った。ゴットヴァルト教授とは、2011年8月にハイデルベルクで開催された国際訴訟法学会の際に会合を持った。また、渡独の際に、前年度までに収集した文献の補充および新たに刊行された文献収集をドイツで行った。 研究成果については、出来るだけ早期にまとめあげて、明治大学法学部の機関誌である法律論叢誌上に掲載する予定である。
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