平成22年5月には、日本弁護士連合会のシンポジウム「離婚後の子どもの幸せのために」に出席し、「親権・監護法の現状と課題」について基調講演を行い、その後のパネルディスカッションにも参加して、諸外国との比較において、日本法の立法課題について提言した。6月には、家族〈社会と法〉学会の理事・会員らを中心に構成する「家族法改正研究会」主催で、早稲田大学において「家族法改正を考える」という学術シンポジウムを開催した。7月には、先進的な取り組みと法制度改革、社会的な支援制度の整備を行っているドイツ親権監護法、少年局と家庭裁判所と民間団体の三者の役割分担と連携について、ドイツ法研究者からヒヤリング調査を実施した。平成22年8月には、福岡家庭裁判所に出張して、調査官と親権・監護をめぐる紛争事例の実情についてヒヤリング調査を行った。 また、9月には、カリフォルニア州の家庭裁判所、UCLA等にアメリカの親権監護法の動向調査を行った。10~12月には、法務省より「親子の面会交流を実現するための制度等に関する実態調査研究」の委託を受け、FPIC(家庭問題情報センター)、FLC(安心とつながりのコミュニティーネットワーク)の協力を得て、ヒヤリングと当事者アンケートを実施した。比較法研究グループでは、英米独仏4カ国の親権監護法の実情と課題について調査研究をとりまとめた。11月には、日本生命倫理学会において、「子どもの医療と親権」について報告した。平成23年1月には「家族法改正研究会」の親権グループによる立法提案を提言し、同じく日本弁護士連合会家事法制委員会で、共同親権、面会交流について、立法提言をまとめて報告した。同年2月に、法制審議会で親権制限及び面会交流に関する「民法の一部改正要綱案」が了承され、法務大臣に答申され、3月には通常国会に提出することが閣議決定された。
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