研究概要 |
21年度において、司法制度改革の政治的背景と起源に加えて、法曹養成、法曹人口、司法支援、裁判員制度を含む刑事制度、裁判制度、ADRおよび国際化の各改正を中心に研究した。関連研究および関連資料の渉猟を行い、改革審議会の会長と委員および法曹養成検討会座長に対する面接結果をまとめた。さらに、法曹養成改正関係者、現・元裁判官を含む裁判制度関係者、裁判員経験者を含む刑事制度関係者、法曹制度およびADR関係者との面接・話合いを行った。カリフォルニア大学ロスアンゼルス校(UCLA)より、(日本研究の著名専門家招待のための)Terasaki Chair in US-Japan Relationsとなるよう招待を受け、21年8月から22年3月まで同大学で研究・教育活動を行った。その間、本研究の最終目的の一つである、すなわち司法制度改革の再検討を通じて日本の司法制度全般を分析し、英語で刊行する著書に向けて様々な研究活動を行った。具体的に、ロースクールで行った講義において司法制度改革の中心的な課題を媒体として日本の法制度の重要な側面を取り上げた。また、政治科学研究科の演習において司法制度改革の政治的側面その他司法と政治のテーマを取り上げた。それぞれの科目において歴史的背景、比較の観点、理論的議論等を取り入れた。新たに作成した資料や新たに翻訳した資料を含めて、それぞれの科目のために作成した教材(前者1200頁超、後者800頁超)は計画している著書の土台となる。 3回の招待講演(UCLA,Stanford大学,Japanese American Bar Assn.)で司法制度改革を取り上げた。講・講演における議論、UCLA、Stanford等の学者との議論を通じて、良いフィードバックを得た。 論文・著書として、日本の刑事制度に関する論文および裁判官制度に関する論文を刊行し、法曹養成改革の再検討の観点からハーバード・ロースクールの教訓に関する著書(共著、有斐閣から2010年11月刊行)の作成・修正を行った。
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