研究概要 |
平成23年度において、前年度に引き続き、法曹養成、刑事司法、裁判、民事司法、そして労働審判の各制度および国際化とADR関連のそれぞれの改革について、司法制度改革関係者とのインタビュー、同改革関連の資料の調査、実務家、裁判員経験者、裁判官等との話し合いにより改革の実際のインパクトおよび問題点についての調査を通じて、司法制度改革の本質とプロセスについてより豊かな情報と知見が得られた。また、前年度に引き続き、今回の改革の歴史的背景を明らかにするため、戦後の司法制度改革上および明治、大正時代の刑事制度改革上について調査を行った。さらに、東日本大震災による被害への司法制度の対応を調べるために、被災地で活動している弁護士とのインタビューおよび原子力損害賠償紛争解決センターの関係者とのインタビューを行い、関連する資料,統計等を調査した。その調査を通じて、被災地対応で法曹・司法制度の改善すべき点を明らかにするとともに、司法制度改革の重要なテーマである法曹制度、民事司法制度、ADR制度に関して改革の具体的なインパクトおよびいまだに残っている問題点をより明確にした。研究活動で得られた情報と知見を取り入れて、日米比較法曹養成について詳細な論文、刑事司法、民事司法、ADR、そして法曹養成制度の各改革に関する講演を行った。それらの講演を通じて学者、実務家、政治家、裁判官等との意見交換を行った。そして論文、講演等の研究活動を通じて、司法制度改革の本質とプロセスに関する再検討を行い、日本国内における司法制度改革の行方に関する議論に貢献するとともに、海外における日本の法制度に関する理解の向上に努めた。さらに、それらの活動が、本研究の最終目標の一つ、すなわち司法制度改革を手がかりとして日本の法と社会の特徴を英文の著書で外国人に紹介するという目標の重要な準備となった。
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