研究概要 |
2011年度から、当初の研究計画の拡充を図っている。具体的には、当初の研究(「反競争的発着枠取引仮説」「非効率的発着枠利用仮説」の検証)に加えて、発着枠取引が路線レベルでの競争に及ぼす影響の分析を行っている。 今年度、EUを対象として行った発着枠取引が路線レベルでの競争に及ぼす影響の検証結果は、Kuhmo Nectar Conference on Transportation Economics 2012 (Berlin, Germany, June 21, 2012) にて報告された。またEUにおける発着枠利用の効率性に関する改良された検証結果は、Air Transport Research Society 16th World Conference (Tainan, Taiwan, June 29, 2012) にて報告された。 米国の運航関連データを用いた定量的分析による「非効率的発着枠利用仮説」検証の成果は、Journal of Air Transport Management の24巻に第1論文として掲載された。 当初、この研究では、ケネディ空港とオヘア空港については発着枠利用が他の空港に比べて若干、非効率であることを示唆する結果が出ていたのに対して、ナショナル空港とラガーディア空港についてはむしろ逆に他の空港に比べて発着枠利用が効率的であることを示唆する結果が得られていた。しかし、査読中に得られた様々なコメントをもとに分析を改良したところ、非効率な発着枠利用がされているのはラガーディア空港とオヘア空港であるという新たな結果が得られた。加えて、ナショナル空港とケネディ空港でも、短距離路線においては非効率な発着枠利用が疑われることも明らかとなった。
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