22年度は脱近代パラダイム転換を踏まえた「共同性の思想研究と地域形成」をテーマに、次の3種類の研究成果を得た。 (1)「脱近代パラダイムの思想研究」に関して、論文1本を執筆した。 拠点形成研究会での脱近代パラダイム転換に関する研究報告を基に、これまでの研究をまとめて論文「パラダイム転換の時代」を執筆したが、これは拠点研究の共著の一部として23年秋に刊行予定。 (2)「脱近代思想と共同性の思想研究」に関して、著書1冊と論文1本を出版した。 22年度は、これまでの虚子における脱近代世界観と共同性論の研究をまとめて、『虚子と現代』(角川書店、22年12月)を出版した。本書は近代思想史における脱近代思想としての虚子とその共同性論を再評価する研究で、23年4月末で、新聞で8本、雑誌で6本、計14本の書評や紹介を得て高く評価され、23年4月に第11回【山本健吉文学賞】(評論部門・賞金30万円)に決定した。 さらに23年3月には、論文(「熊本法学」査読あり)「虚子における自由」を出して、同書の一層の展開を試みた。 (3)「共同性と地域形成の研究」に関して、2つのシンポジウムを企画・開催した。 22年度は、共同性と地域形成について、熊本大学学際セミナー「都市コミュニティの再生」(22年12月熊本大)を企画開催した。さらに、文化による共同性の再構築論として、日本文化経済学会会長の後藤和子・埼玉大教授を招いて第2回文化政策研究会「熊本の都市戦略と文化政策」(23年1月、熊本大)を企画開催し司会を務めた。
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