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2009 年度 実績報告書

時間の比較政治学―合意形成のジレンマ―

研究課題

研究課題/領域番号 21530127
研究機関聖学院大学

研究代表者

松尾 秀哉  聖学院大学, 政治経済学部, 准教授 (50453452)

キーワードベルギー / 政権形成交渉 / 民族問題 / 比較政治
研究概要

研究初年度にあたる本年度は、過去の成果を参照しつつ、分析枠組みの精緻化を行った。本研究の重要な問いに、「政権形成に要する時間」を決定する要因の策定があるが、この点につきピアソン、ストロムらの論考に従い、政治制度的要因(連邦制か否か、元首の政治的機能、信任投票の有無、政党システムの破片化の程度)によって分析枠組みを想定した(アクター数を増大させる要因が制度上あれば合意形成には時間を要するとの仮説にもとづく)。以上の成果は、「時間の比較政治学一合意形成のジレンマ(一)」として聖学院大学総合研究所紀要に掲載予定である。
本研究の最大の目的は、フランス、ドイツと上記分析枠組みを用いて比較検討しながら、申請者の主たるフィールドであるベルギーの、近年の分裂危機の要因を探ることにあった。ベルギーの政権形成の慣例は特異であり、その歴史的起源を調査するなかで「君主の政治的機能とベルギーの分裂危機一君主支配と市民の抵抗の相克一」を執筆した。また、分裂危機の政治過程を調査し、それを整理したものを日本比較政治学会にて報告し、さらにそのメンバーを中心に、高橋直樹・岡部恭宜編『構造と主体-比較政治学からの考察』を刊行した。
また「時間」の政治的インパクトをどのように分析するか、という手法に言及したうえで、ベルギーの分裂危機を分析したものとして、「ベルギー分裂危機とブリュッセル周辺域の民族問題-「国家政治の縮図」から「都市政治の復権」へ-」(査読付)を執筆した(6月刊行予定)。
以上はいずれもベルギーのみにとどまっており、2010年度にドイツ、フランスへの調査を行いつつ、最大の問いである「政権形成に要した時間とその後の政局」との関係を相対化する。ただし、2010年4月末にベルギーが再び政権崩壊、6月総選挙となったため、予定していた海外調査の多くをベルギーの情報収集に充てる可能性がある。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] ベルギー国家分裂危機-連邦化以降の政治主体の行動変化2010

    • 著者名/発表者名
      松尾秀哉
    • 雑誌名

      『構造と主体-比較政治学からの考察』(東京大学社会科学研究所、SSIRシリーズ)(高橋直樹・岡部恭宜編) 35

      ページ: 5-26

  • [雑誌論文] ベルギー分裂危機とブリュッセル周辺域の民族問題-「国家政治の縮図」から「都市政治の復権」へ-2010

    • 著者名/発表者名
      松尾秀哉
    • 雑誌名

      日本比較政治学会年報 都市と政治的イノベーション(日本比較政治学会編) 12号(予定)

      ページ: 117-133

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 時間の比較政治学-合意形成のジレンマ(一)2010

    • 著者名/発表者名
      松尾秀哉
    • 雑誌名

      聖学院大学総合研究所紀要(聖学院大学総合研究所編) 47号

      ページ: 373-387

  • [雑誌論文] 君主の政治的機能とベルギーの分裂危機-君主支配と市民の抵抗の相克-2009

    • 著者名/発表者名
      松尾秀哉
    • 雑誌名

      現代の理論(明石書店) 21号

      ページ: 191-200

  • [学会発表] 日野先生ご報告に対するコメント2009

    • 著者名/発表者名
      松尾秀哉
    • 学会等名
      日本ベルギー学会
    • 発表場所
      上智大学
    • 年月日
      2009-12-16
  • [学会発表] ベルギーの国家分裂危機-連邦化以降の政治的主体の行動変化2009

    • 著者名/発表者名
      松尾秀哉
    • 学会等名
      日本比較政治学会
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2009-06-28

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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