2010年4月から日本とドイツの外交政策に関する国内議論のデータを収集した。特にドイツと日本の国会議事録から、NATOのISAFミッション(国際治安支援部隊)とドイツと日本の役割についてのスピーチおよび、政治家と政府のステートメントを集めて、データベースを作成した。さらに、国会議事録の重要な意見を英語に翻訳して、日・独両国の中での中心的な意見が何であるかを探った。このデータベース収集はいまだ継続中だが、9月から現在までに集めた世論調査や新聞記事、国会議事録などの分析もすでに始めている。日本とドイツの外交政策に関するパブリック・ディスコースにおいて強い影響力をもつのは、歴史認識、外圧、政党システムの他に、日・独両国の国民が自国の戦争責任や国際社会に対する責任をどう理解しているかであることがうかがい知れた。2006年から2007年まで、当時の日本政府と米国政府はアフガニスタンにおける日本とNATOのミッション上の協力は非常に効果があると考えており、将来的に日本がNATO加盟国に加わる可能性も検討していたが、欧州のNATO加盟各国の支持を得られなかった。欧州連合と日本政府の間の協力に関する議論も現在分析を行っている。 2011年3月16日-19日にカナダのモントリオールで行われたISA(International Studies Association)年次大会で、ドイツのNATOのISAFミッションと、日本のアフガニスタンでのミッションの比較と影響について研究発表を行う予定だったが、東日本大震災発生のため渡航を中止せざるを得なかった。その代わりとして2011年9月にオーストラリアのブリスベーンで開催されたISA Asia -Pacific Section Meetingに参加し、"The Impact of Out-of-Area Missions on Interregional Security Cooperation:The Case of Europe and Asia-Pacific"と題する発表を行った。
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