• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

近代政治思想史におけるエピクロス主義的伝統の研究

研究課題

研究課題/領域番号 21530129
研究機関国士舘大学

研究代表者

中金 聡  国士舘大学, 政経学部, 教授 (90269712)

キーワード政治哲学 / エピクロス主義 / コンヴェンショナリズム / 自然法 / 正義
研究概要

研究最終年度にあたる本年度は、近代政治思想におけるエピクロス主義的伝統をホッブズおよびパスカルの思想のなかに跡づけることを主たる課題とした。
1.ホッブズがガッサンディ経由でエピクロス哲学の影響を受けたことは従来しばしば指摘されてきたが、その詳細は今日なお明らかではない。そこで本研究では、原子論形而上学、快楽主義倫理学、正義のコンヴェンショナリズム、宗教批判の4点についてエピクロスとホッブズの所説を比較検討し、ホッブズがガッサンディの影響下に敬虔なキリスト教徒を装いながらエピクロス哲学の本質的要素を摂取していった次第を明らかにした。またホッブズ政治哲学の意図が、地上の平和を確立して「暴力死の恐怖」から人類を解放することに限定され、「死の恐怖」からの解放を約束するものではない点に着目し、ホッブズが人類の最終的救済をなおもキリスト教信仰に求めていた可能性があることを指摘した(論文「心の平静から社会の平和へ-ホッブズはどこまでエピクロス主義者か?」)。
2.次いでパスカルにおけるエピクロス主義の問題を論じるにあたり、その前提として、可死性からの救済を追求するエピクロス主義とキリスト教が提携する可能性をローマにおけるエピクロス哲学の受容史の検討により確認した。その成果として、エピクロス主義のラディカルな自然主義哲学をめぐって対立したルクレティウスとキケロが、エピクロス主義的な正義のコンヴェンショナリズムの視点からローマの実定法秩序を批判する立場を共有していたことを解明し、またこの批判が後のラクタンティウスやアウグスティヌスら初期キリスト教神学者たちに継承されることで、近代エピクロス主義のなかに哲学ベースの世俗的系譜と信仰ベースの有神論的系譜とが併存する理由を説明した(論文「城壁の哲学-ローマのエピクロス主義について」)。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] 城壁の哲学-ローマのエピクロス主義について2012

    • 著者名/発表者名
      中金聡
    • 雑誌名

      政治研究

      巻: 3 ページ: 29-70

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 心の平静から社会の平和へ-ホッブズはどこまでエピクロス主義者か2012

    • 著者名/発表者名
      中金聡
    • 雑誌名

      政治哲学

      巻: 12 ページ: 148-82

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi