本研究は、「複数の行為主体間における相互作用のあり方、そのあり方に影響を与える諸要因、それらの要因がその相互作用を形成するメカニズム」がガバナンスの探求課題であると考え、政府部門(地方政府及び中央政府)における人的資源管理・配置について、90年代以降の政府間ガバナンス(中央政府・地方政府間、地方政府相互間)の変容に着目して実証的に検証しようとするものである。 その際、国内の事例のみならず、人的資源管理について諸外国の知見をも参照しつつ検証を行うようすすめている。 22年度はオーストラリア、NZへ直接訪問することはできなかったが、文献やインターネットによる調査を進めた。また、それ以外の国、2カ国を別の調査で訪問する機会を得、その際に、本テーマに関連する調査も並行して行った。 カリフォルニア州政府および州内の5つの自治体を訪問し、人的資源管理に関する知見を得た。Calpersという加州内自治体にほぼ共通の年金制度があるため、域内での人的交流(自発的な人事異動)は活発である。他方、Calpersに入っていない自治体(サンフランシスコ市など)との行き来は少ない。 英国の数箇所の地方自治体にも訪問する機会を得た。イングランドの自治体には共通の年金制度が存在し、それが自治体間の異動を容易にしている。 日本の場合の自治体間の異動の障壁は、日本特有の退職金制度が自治体を退職する度に小額支給されてしまうことであるという仮説が考えうる。このような制度枠組みを取り払う法制度や運用のあり方の研究、また、オーストラリアに見られる資源共有モデルについての検討を次年度の課題としたい。
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