研究課題/領域番号 |
21530136
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
宮脇 昇 立命館大学, 政策科学部, 准教授 (50289336)
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研究分担者 |
後藤 玲子 立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (70272771)
藤井 禎介 立命館大学, 政策科学部, 准教授 (70350931)
横田 匡紀 東京理科大学, 理工学部, 講師 (20400715)
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キーワード | 公共政策 / 虚言 / 無謬性 / as if選好 / 規範の競合 / 破約 / ヘルシンキ委員会 |
研究概要 |
本研究は、ウソ、すなわち虚言に対応する過程(虚言の発生-容認-批判)の分析を通じて、虚言発生を個別アクターの倫理的問題としての研究にはとどめず、公共政策全般の課題として「ウソと対面する過程」を学術的にとらえる新たな知の体系の形成を目的とする。 平成21年度は、国際公共政策研究で培われたアプローチを国内の公共政策にかかわる虚言の研究に援用する可能性を追求した。そのために、虚言を分析する枠組みを形成するための基礎的な研究をすすめるべく、いくつかの事例をとりあげた。 海外の事例として、アメリカ議会がソ連の人権問題をとりあげた事例では、ソ連の虚言に対応した「繰り返しゲーム」化が促進されることで、無謬性を標榜する議会が社会主義国の虚言を継続的に批判しやすく、虚言効果の時間逓減が検証された(宮脇)。 また国内の福祉政策において、as if的行動がどのように見られるかをアマルティア・センの保証ゲームを用いて解明し、人々が相互性規範を内包したas if選好にもとづいて行為する場合に利得最大化にしたがう自発的選択の結果、過剰労働・過少労働が回避される可能性のあることが示された(後藤)。また入管法をめぐる政治過程において、規範の競合という視座からみると、この事例は経済界の「経済合理性」の考え方に外国人受け入れに「慎重」な政府内エリートの伝統的規範が優位したことが解明された(藤井)。これらの研究は、他の研究分担者・協力者等の研究とともに「研究ノート」として成果を集約し、次年度以降の課題を導出した。
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