超国家・国家・地方政府の3層の領域的行為体による統治モデルに加え、EU統合深化の中で新しい政策容器「メゾリージョン」が登場し、規範の異なる行為体・ステークホルダーがガバナンス形成に参加する「規範包括的ガバナンスが立ち上がり始めている。この"メタガバナンス"の政治統治形態モデルの成立プロセスを明らかにすることを目的に、まず、超国家スケール・国家スケール・地方政府スケールの各レベルの垂直的関係の中でも、国家スケールを飛び越す「越層行為」を検証した。具体的には、北海地域諮問評議会(NSRAC)を含めた全7つの地域諮問評議会の合同会議(Inter-RAC Conference、2009年11月3日-4日、英国・エディンバラ)、および、北海に関わるすべての利害関係者(ステークホルダー)が一堂に会し、北海の持続的発展、海洋スペイシャルプランニング、資源の包括的管理などを議論する会議(North Sea Stakeholder Conference、2010年3月17日・18日、英国・ニューカッスル)に出席し、NSRAC構成員の各レベル行為体へのインタビュー調査を実施した。ステークホルダーのガバナンス形成への参加を検証した結果、アバディーン州政府によるガバナンスコーディネートとその規範誘導が明らかとなった。 これに加えて、平成21年度中に執行予定だったインタビュー調査を新型インフルエンザ流行による渡航自粛で繰り越し、22年度に執行した欧州沿岸辺境地域会議(CPMR)年次総会(2010年9月29日-10月1日、英国・アバディーン)の調査により、EUレベルのスケールとメゾリージョンレベルのスケールの行為体の往還・連接についてガバナンス形成プロセスを明らかにした。
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