23年度は、理論面では、22年度に引き続き、国際法の領域でILC(=国際法委員会)を中心に議論された立憲化の問題を精査することによって、国際政治学領域で扱われる制度間コンフリクトの議論との異同、問題点を整理した。また、国際政治学領域での制度間コンフリクト議論が1990年代のオラン・ヤング以来、どのように推移し、発展をしてきたか、また残されている課題について検討した。 その上で、海洋をめぐる制度間のコンフリクトの調整プロセスの解明という目的のもと、 (1)2010年にクロマグロをめぐって、地域漁業機関ICCATとワシントン条約(CITES)の重複関係が生じたが、クロマグロがワシントン条約での規制対象とならない形で決着したそのプロセスと理由。 (2)生物多様性条約の第10回締約国会議において議論されるかに思われた国家管轄権領域を超えた海洋保護区が結局議論されないままに終わったのがなぜか、その決定が行われたプロセスと理由。 の二つを事例研究として行った。 今年度は研究の最終年度にあたることあら、これまでの総括を行い、海洋ガバナンスについての理論的検証と制度間コンフリクトがガバナンスにもたらす影響についても考察した。
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