本研究は、国連行政におけるアカウンタビリティーの概念の歴史的推移の考察と概念の現代的展開の解明を目的としたものである。そのために、課題1:国連行政における行政統制の制度的発展と総括管理の手法の歴史的考察と、課題2:新公共経営論導入が現代の国連行政に与えた影響の考察とその評価を明らかにしようとする。当該研究の3年目にあたる本年(および繰越を含め4年目)は、課題2に取り組んだ。 年間の活動状況を要約すると以下の通りである。2012年2月、単著『国連行政とアカウンタビリティーの概念―国連再生への道標』(東信堂、全246頁)を出版し、本研究の総括と一般社会への研究成果の公表を行った。2012年7月、人間の安全保障学会関西支部第1回研究大会にて、国連のアカウンタビリティーを強化するための取り組みについてパネル報告を行った。2011年9月から12月にかけて、フランスのパリ政治学院(Institut d’Etudes Politiques de Paris)の国際政治大学院(PSIA)にて、国連のアカウンタビリティーをテーマとした講義を行い、海外に向けての情報発信に取り組んだ。2012年度には、外務省の国連マルチ外交研究会のメンバーとして、国連の政策評価研究―平和・安全保障分野を担当―に取り組み、政策評価報告書を提出した。 その他、HPの作成を行い研究成果の一般市民社会への公表に取り組んだり、国連寄託図書館ネットワーク会議で講演を行ったり、松浦晃一郎ユネスコ前事務局長の講演会を開催するなど社会貢献活動にも取り組んだ。
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