研究概要 |
人種問題という外交関係研究においては従来あまり重視されてこなかった問題を扱う本研究課題の最終年度として、三年間の総括を行った。初年度と二年目に収集した米国と英国、そして白人自治領であったオーストラリアやカナダ、ニュージーランドにおける排日移民法の関わる資料を分析を行うと共に、初年度と二年目に収集できなかった資料を英国オックスフォード大学のボドリアン図書館、ウィンザー城英国王立文書館、エジンバラのスコットランド国立図書館などで調査・収集を行った。またこれらをまとめて、9月にグラスゴー大学で行われた国際関係史学会で、人種問題と文明の問題について学会発表を行った。また共著としてJohn Fisher & Antony Best(eds.), On the Fringe of Diplomacy : influence on British Foreign policy, 1800-1945がAshgateから刊行された。さらに人種問題、白人優位主義とアジア主義の関わりについては、松浦正孝編著『広域アジア主義比較研究』がミネルヴァ書房から出版されることになり、この一章分の「白人優位主義へのアジア主義の対決」を執筆し、現在校正中である。オーストラリアのパースにある西オーストラリア大学でも、学会発表と行い有益なコメントを受けることが出来た。以上のように資料収集と学会発表などで、科学研究費の主な部分は旅費に費やされ、また図書の購入が物品費に充てられた。
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