研究概要 |
本年は、当初予定したとおり、国際赤十字委員会の「人々戦争を語る(People on War Project)」のデータと国内テロを含めたテロリズムの原因を探るためにGlobal terrorism Database II (GTD II)の研究を行った。前者については、二つの論文を、SGIR 7th Pan-European International Relations Conference : September 9-11, 2010で発表した。"Demographic factors and propensity for violence during armed conflicts : voices of survivors."と"Primordialism, humanitarianism, or aquest for justice : citizens' support for international tribunals after civil wars."がそれである。後者は、内戦時の死者は、無作為に分布するのではなく、特別な社会的属性があった人々がより多く被害にあったことを明らかにしようとした。 またGTDIIに関する研究は、2011年3月31日から4月3日に開催された69th annual national conference of Midwest Political Science Associationで、"Coercive states and terror response."という題名で、ペーパーを発表した。これは、国家機構の市民社会に対する暴力と抑圧がテロの発生と死者数にどのような影響を与えるかという点を分析したものである。 最初の1本目の論文は、権力から疎外された人々が戦後の戦争犯罪者処罰に関していかなる意識を持っているかという点を検証した論文である。これに対して、2本目の論文は、どのような属性を持った人が、もしくは、どのような国家政策が、権力から疎外された人々を生む傾向があるかという観点からの研究であった。3本目の論文では特に国家の抑圧機構の暴力が死傷者の大きなテロを誘発する傾向があることを明らかにした。また欧州の地域機構であるOSCEの文書館で調査を行い、本研究の問題関心についての特にバルカンでの具体的な事例の研究も始めた。
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