研究課題
本研究は、本件度が最終年度に該当するため以下の点について研究を深めた。まず政治権力から疎外された人口集団の個別の事例について検討してきたが、それを一般化できるパターンを明らかにすることを検討した。そのため、今年度新たに事例研究を追加して、旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所の記録から、市民の殺傷に加わった反乱軍や民兵の特徴的な属性や、彼らが、市民の殺傷行為を行った都市、街、村落の戦前の人口学的な特色を論文にまとめた。また内戦や人民の自決のための戦争で暴力行為の犠牲者となる可能性が高い人々の特徴を調べた論文及び「オフリッド枠組み合意」後のマケドニアに関する国内の政治状況をまとめた論文を公刊した。前者は、内戦下での暴力行為の被害者の属性を、国際赤十字委員会の社会調査People on War Projectで検証したものである。マケドニアの研究は、少数民族が、一旦、武装闘争を行いながら、平和に既存の国家機構に統合されたというきわめて注目に値する事例であった。そのため、今後、政治権力から疎外された集団が非平和的手段で要求を主張してきた時、取るべき政策を検討する際、教訓的な事例であると考えた。これは昨年行った現地調査と一昨年のOSCE公文書館での資料収集の成果を分析したものである。最後に、研究を現状分析に留まらず、将来的には政策的な意味を持たせるため、政治権力から疎外された人口集団を平和に既存の国家制度に統合するには、どのような政策を取るべきかという観点から、恩赦措置について分析したペーパーを提出し学会発表として公表した。なお、学会報告及び公表論文の詳しい内容は、最終報告書に記した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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『立命館法学』
巻: 第345・346号 ページ: 545―575頁
Terrorism and Political Violence
巻: Vol. 24, Issue 3 ページ: pp. 415-436
10.1080/09546553.2011.631635