1具体的内容 本研究の目的は、気候変動避難民(気候変動の影響によって移動を余儀なくされる人々)へのグローバルな対応という現象を、国際レジームとガヴァナンスの視点から把握し、国際関係論における理論面での考究に寄与することである。本研究では、最終的に、難民、環境、人権、人道に関する既存の国際レジームと気候変動避難民との関係について明らかにしたい。 以上の目的と問題意識に基づき、本年度は、以下の研究を実施した。 (1)既に発表されている、気候変動避難民に関する著書、論文、報告書、執務文書等の収集 (2)収集された著書、論文、報告書、執務文書のレビュー:国際難民レジーム、国際環境レジーム、国際人権レジーム、国際人道レジーム、という4つの観点から、関連の情報を抽出し情報を整理した。特に、イシュー・リンケージや、既存のレジームと新たなガヴァナンスとの関係等に着目しつつレビューを行った。 (3)欧州における資料収集及び聞取り調査:文献調査から得られた結果を補完しアップデートするため、本年度は、欧州で資料収集と聞取り調査を実施した。 2意義と重要性 本年度の研究を通じ、以下の課題に接近するための基礎を完成できた事が大きな成果であった。 (1)独占的国際レジーム不在の中でのガヴァナンス形成とその機能 (2)各アクターがガヴァナンスで担う機能 (3)アクター間の、非公式な形でのネットワーク化の状況 (4)既存のレジームとガヴァナンスとの関係 本年度の成果を足場に、今後、気候変動避難民に対するグローバルな対応及びその動態や構造を、総合的かつ理論的に解明していきたい。
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