本研究の目的は、気候変動避難民(気候変動の影響によって移動を余儀なくされる人々)へのグローバルな対応という現象を、国際レジームとガヴァナンスの視点から把握し、国際関係論における理論面での考究に寄与することである。 具体的には、難民、環境、人権、人道に関する既存の国際レジームと気候変動避難民との関係について明らかにしたい。さらに、独占的国際レジーム不在の中、ガヴァナンスがどのように形成されているか、いかなるアクターがガヴァナンスのいかなる機能を担っているのか、アクターの非公式な形でのネットワーク化がどのように進んでいるか、などを詳らかにしたい。以上の分析結果をもとに、気候変動避難民に対するグローバルな対応及びその動態や構造を、総合的かつ理論的に解説することを試みる。 報告対象期間においては、以下の研究作業を実施した。 1 関連資料の収集・レビュー:前年度よりこれを継続している。報告対象期間においては、とりわけ、グローバル倫理と具体的政策提言に関する文献が予想外に多く出版され、これらを中心にフォローした。 2 国外での資料収集・聞取り調査を実施:キリバス共和国において、早くからこの気候変動避難民の問題に取り組んでいる複数の研究者と面会し、聞取り調査を行った。また同国政府関係者と面談し、気候変動避難民の受入れに関する行政府の意思決定過程や、国際機関の関与等について情報を得た。 3 国内外の学会において、これまでの発表した。 4 論文・報告書の執筆開始:本実施期間より、報告書の執筆を開始した。特に、理論面の整理に注力して執筆を進めた。
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