22年度は、21年度に開発した基礎的計量経済学手法を拡張・発展させ、21年度に整備したデータを使って人的生産関数の推定を行った。 計量経済学手法の発展:21年度に開発した手法を基に、凹増加関数である関数のUpper boundとLower boundそれぞれの推定値を求めるプログラムを作成した。そして、Upper boundとLower boundのそれぞれの推定値に対し、データからsubsampling methodを使って分布を発生させquantilesを求めるプログラムを作成した。そのquantilesから様々な有為水準の信頼区間を求めるプログラムを作成した。 実証分析の実施:21年度に整備したデータと上記の計量手法のプログラムを使って、実証分析を行った。つまり、教育年数の上昇とともに限界生産性が逓減するような人的資本生産関数を仮定し、限界生産性すなわち教育のリターンが入りうるバウンドを推定した。さらに、推定バウンドの信頼区間を推定した。 研究結果の中間報告を論文にまとめ、アメリカボストンで開催されたAnnual Conference of the Society of Labor Economistsや、中国上海で開催されたWorld Congress of the Econometric Societyで報告し、学会に出席する専門の研究者と議論し、討論した。そして、そのコメントをもとに論文を改訂した。さらに中間報告を、ドイツの国際的研究機関であるInstitute for the Study of Laborにおいて、IZA Discussion Paperとして、公表した。
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