研究概要 |
平成22年度においては,まず戦略的補完性に関する性質を,動的な環境(マルコフゲーム)に応用し,パラメータ変化における比較静学(例えば,研究開発成果における開発の成功確率や開発費用が変化すると,利益がどのように変化するかなど)を導く理論を構築しようと試みた.この研究については,昨年より大きな進展は見られず,ゲームのクラスも限定されたが,昨年までの成果と合わせ,中国のゲーム理論国際学会などで発表を行い.評価を得た また,不確実性下における企業投資において,戦略的補完性が存在する条件での評価モデルとして,リアルオプションとゲーム理論を組み合わせた不確実性下における投資競争における「シグナリング」と呼ばれる情報の戦略的顕示の効果について研究を行った.投資競争において,先手と後手の2つの企業があり,先手のみがマーケットに対する情報を持っている場合を考察し,先手が最適なタイミングでオプションを行使するか,もしくは戦略的な情報顕示のため最適でないタイミングで行使するかについて,その条件,及び混合戦略の確率を明らかにし,投資者の期待利益について数値計算を行った.研究成果については,Springer社から出版されるDynamics, Games and Science Iに掲載するとともに,リアルオプション国際学会やヨーロッパOR学会国際会議で発表した
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