研究課題
伝統的な経済動学モデルに内包される「非線形性」と「時間遅延」に焦点を合わせて再考察を試みた。ミクロ経済動学モデルとして複占(2企業)と寡占(一般N企業)を取り上げ、製品差別化、数量戦略と価格戦略が混在する異質競争、競争企業の行動に関して不完全情報、広告効果などが動学に及ぼす影響を分析。マクロ経済動学モデルとして古典的な非線形モデルである、生産の上限と投資の下限の存在するHicksの景気循環モデル、Goodwinの加速度原理に基づいた景気循環モデル、Solow-Swanモデルとも言われる新古典派経済成長モデルに時間的遅延を明示的に導入して分析を行った。モデルは異なるが、基本的な分析手法は同じである。まず、動学モデルの定常点の小域的安定条件を導出し、その安定条件が満たされない時にどのような動学(単調発散か持続的振動)が生み出されるのかを主にコンピュータシミュレーションを援用した数値解析を行った。線形モデルの安定条件の導出はモデルの次元数が上がってもそれほど複雑にはならないが、非線形モデルの場合には条件が複雑になるので、いくつかの特殊ケース(例えばN企業が存在する産業が2系列あるいは3系列の企業群に分類可能なケース)に限定して分析を行った。また時間遅延に関して、固定時間遅延と連続分布時間遅延の二つのケースを分析した。これらの考察より「非線形性」と「時間遅延」が経済の持続的不規則変動に及ぼす効果について明らかにすることが出来た。
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Discrete Dynamics in Nature and Society
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巻: (掲載決定(印刷中))
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