当該研究計画「ホートリーの総合社会科学 -その哲学・社会哲学・経済学の体系的研究」は、戦間期ケンブリッジを代表する経済学者の一人であるラルフ・ホートリーについて、彼が哲学・社会哲学・経済学を総合的にとらえるようとしていたことを、具体的に明らかにする(構築する〕ことを最終的な目的としている。 本年度はホートリーの未刊の社会哲学書Right Policy(ケンブリッジ大学チャーチル・カレッジ所蔵)を対象に執筆した英文論文をアメリカの学会誌に投稿した(現在2度のレフェリーを経て、ほぼオッケーの段階になり、形式的修正を施したうえで、最終決定待ちの状況にある)。3月にグラーツ大学(オーストリア)で開催されたシンポジウムにおいて、同論文を報告する機会があった。なお、このシンポジウムに参加するまえに、ケンブリッジ大学チャーチル・カレッジに赴き、ホートリー文書の調査研究を行い、貴重な資料を入手することができた。 ホートリーの文書については、前年度にも大量の資料を調査しているが、それをデジタル化する作業を継続している。そしてデジタル化された文書をもとにホートリーの社会哲学、ならびに哲学の構造を解明するべく研究を続けている。
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