研究課題/領域番号 |
21530192
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研究機関 | 長岡工業高等専門学校 |
研究代表者 |
佐藤 公俊 長岡工業高等専門学校, 一般教育科, 教授 (00178716)
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キーワード | ビアトリス・ウェッブ / フェミニズム / 福祉経済学 / 社会経済学 / ナショナルミニマム / ウェッブ夫妻 / 高橋九郎 / 神谷信用組合 |
研究概要 |
平成23年度では、佐藤公俊は研究テーマのビアトリス・ウェッブの福祉経済学とフェミニズムのうち、彼女のフェミニズムについての研究と翻訳、および、福祉経済学研究の関連テーマの研究を行った。これらの研究と翻訳は、ビアトリスのフェミニズムのフェビアン社会主義的性格と19世紀英国の中産階級的性格を明らかにするものであり、ビアトリスの思想研究に新たな観点をもたらすものである。 佐藤公俊の平成23年度の研究の成果は以下のとおりである。 (1)共著である、清水敦、櫻井毅編著『ヴィクトリア時代におけるフェミニズムの勃興と経済学』をお茶の水書房から出版した。その第4章として単著「ビアトリス・ウェッブのフェミニズムと賃金論」を執筆した。 (2)「ビアトリス・ウェッブのフェミニズムと賃金論」について、櫻井研究会において報告した。 (3)「神谷信用組合と産業組合-高橋九郎の挑戦とウェッブ夫妻の長岡調査、日本の農協の源流-」(『長岡工業高等専門学校研究紀要』第46巻所収)について、ビアトリス・ウェッブ研究会で報告した。 (4)『長岡工業高等専門学校研究紀要』第46巻に発表した「ビアトリス・ポッターの1886年論文The History of English Economicsの原稿のトランスクリプションと解説(上)」に続く、(下)の部分の原稿を作成した。(未発表) (5)戦時内閣委員会の報告書WOMEN IN INDUSTRY(HIS MJESTY'S STATIONRY OFFICE,REPORT OF THE WAR CABINET COMMITTEE ON WOMEN IN INDUTRY,1919)、そのビアトリス・ウェッブ単独執筆部分の「マイノリティ・レポート」の翻訳をビアトリス・ウェッブ研究会でおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
単著ビアトリス・ウェッブのフェミニズムと賃金論を、清水敦、櫻井毅編著『ヴィクトリア時代におけるフェミニズムの勃興と経済学』(お茶の水書房、2011刊)の第4章として執筆した。この論文で、ビアトリスのフェミニズムの変化、および、ナショナルミニマム論、さらに、女性賃金論と家族手当論の展開を把握し、ビアトリスのフェミニズムの影響からの福祉経済学の形成の推移について、一定の知見を得たため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究方針は以下の通り。 (1)ビアトリス・ウェッブのフェミニズムについて、今年度はひき続き、1910年代の女性の賃金についての論争を検討し原稿化してゆく。 (2)ビアトリス・ウェッブのフェミニズムと賃金論について経済理論学会で報告する予定である。 (3)ビアトリス・ウェッブの福祉経済学の展開について、1880年代の経済学研究と社会学的経済学についての彼女の把握をまとめて、ビアトリス・ウェッブの福祉経済学の形成として原稿を作成する。 (4)ビアトリス・ウェッブの1890年代の協同組合論の研究について検討してゆく。 (5)ロバート・オウエンの思想についてビアトリスは分析しているので、ビアトリスと同時代のオーエン主義者の動向の調査のため、アメリカのニューハーモニーを訪問して調査する。
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