研究課題
本年度は、まず、所得分布を対数正規分布によって推定して、ジニ係数を計算し、その変化を検定する方法を提案した。その研究結果は、日本経済学会春季大会にて、A Simple Test for Economic Inequality Using Lognormal Distributionsとして発表した。当該研究は、パラメトリックな手法を用いて経済格差の検定を行う方法を提案するものであったが、記述統計的に計算されたジニ係数の変化を統計的な手法で裏付けることが可能になった。さらに、前記の研究で用いた分位データをその漸近分布を使って、多変量正規分布に近似する方法を用いると、対数正規分布およびパレート分布の分位点の同時分布が多変量正規で近似できる。その結果を用いて、確率的ボラティリティーモデルへと時系列構造を持ったモデルへと拡張を行った。推定に当たっては、マルコフ連鎖モンテカルロ法によって推定した。推定されたモデルを周辺尤度によってモデル選択を行うと、確率的ボラティリティーモデルで表わされる時系列モデルが、時系列構造を持たないモデルよりも支持されることが分かった。つまり、経済格差にも時系列の構造を入れた方がより良いモデルになることが分かった。しかしながら、外生変数を加えても高い周辺尤度は得られなかった。この研究結果は、千葉大学ワーキングペーパー#09E050 "Estimation of dynamics for Income inequality by stochastic volatility model"にまとめられている。
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Working Paper, Department of Economics, Chiba University #09E050
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