研究概要 |
2011年11月30日に京都大学で行われた国際研究集会"Recent Developent in Statistics, Empirical Finance and Econometrics"での報告は、一階の自己回帰過程が自己相関を持つ残差から生成される場合についてノンパラメトリックな逐次単位根検定の方法を提案した。それは非逐次的なデータに対するPhillips=Perron検定に対応する。加えてp次の自己回帰過程過程に対して単一の単位根の逐次検定についても新たに提案した。検定手法の漸近的性質は時間変更の手法を用いてDDSブラウン運動によって表される次元3/2のベッセル過程によって特徴づけることが分かった。この研究は京都工業繊維大学の人見光太郎氏と京都大学の西山慶彦氏との共同研究である。 2012年1月12日の香港中文大学および同20日の東京大学で行われた報告では、自己回帰過程の単位根の逐次検定の理論についての総合報告を行った。自己回帰過程の単位根の逐次検定は、研究代表者ら(永井、人見、西山)がLai and Siegmund(1983)の逐次推定の方法にヒントを得て、AR(1)モデルに対して単位根と局所対立仮説の逐次検定を考えた研究を端に発する。研究代表者らは、Ornstein=Uhlenbeck(OU)過程へ拡散近似を考え、最小二乗推定量をFisher情報量で止めた検定統計量は局所漸近正規(Local Asymptotic Normality)の構造を持つことを示し、さらに局所爆発的な場合においても検定統計量は正規分布となるということを示した。また、期待停止時刻といった動作特性(OC ; Operating Characteristics)を3/2次元のBessel過程用いて表現することにより特殊関数の数値計算で求められることも示した。またこの逐次的手法はPhillips=Perronのノンパラメトリック単位根検定、p次の自己回帰過程の単位根検定にも発展できることを示した。
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