研究課題/領域番号 |
21530212
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
秋山 太郎 横浜国立大学, 経済学部, 教授 (40167854)
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研究分担者 |
永井 圭二 横浜国立大学, 国際社会科学研究科, 教授 (50311866)
倉澤 資成 横浜国立大学, 国際社会科学研究科, 教授 (40018057)
冨浦 英一 横浜国立大学, 経済学部, 教授 (40273065)
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キーワード | ベンチャー / R&D / サバイバル分析 / 企業家 |
研究概要 |
(1)前年度に構築したモデルをさらに分析し、ベンチャー企業によるR&D活動の決定要因について分析を行った。ベンチャー企業が既存企業によって買収され、ベンチャー企業の開発した技術は既存企業によるイノベーションに活用されることになるケースを取り上げて分析を行った。このケースにおいては、ベンチャー企業の上場はオフ均衡経路であり、実際には生じないが、ベンチャー企業がより速やかに上場できるという意味において株式市場の機能が高いほど、ベンチャー企業によるイノベーションが盛んになりになることを示した。また、摸倣を困難にするための支出を内生化した成長モデルにより、知的財産権の法的保護の強さとイノベーションの間には逆U字型の関係があることを示した。 (2)昨年度開発した、企業の設立、合併、倒産、上場といった3イベントを考え、かつ実時間を時間パラメーターとするハザードモデルにおける推定量について、かなり緩やかな条件の下で一致性が成立することを、解析的に証明した。 (3)企業成長にとって重要な生産性について、近年拡大している国境を越えたアウトソーシングとの関係を、企業ミクロ・データを用いて計量実証分析し、アウトソーシングされる業務や地域の広がりが生産性と有意な関係を持つことを明らかにした。 (4)企業家は自信過剰な傾向を持つという企業家の経済学においてよく知られている事実について、情報開示の面からの理論的な説明を与えた。ベンチャー企業の評価が投資家(ベンチャーキャピタル等)の主観に基づいて行われるとき、企業家は評価者である投資家の主観に沿う情報の開示を行うために情報開示の非効率性が生じる。企業家が自信過剰であれば、このような企業家の情報開示の非効率性が取り除かれる可能性があることを示した。
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