ワーキングペーパー"Yuan's Exchange Rates and Pass-through effects on Prices of Japanese and the US Imports"(『元の為替レートと日本および米国の輸入価格におけるパススルー効果』)を作成した。以下はその要旨である。 本ワーキングペーパーは、米国および日本における中国からの輸入品の価格に対し、中国人民元の為替レートが持つパススルー効果を予測したものである。実証的結果によると、中国元相場が名目1パーセント上昇すると、米国の輸入価格は、短期的には0.23%、長期的には0.47%上昇するといえる。一方、日本の輸入価格は、中国元・日本円の二国間為替レートの変動による影響をより大きく受ける。中国元が日本円に対して名目1%上昇した場合、日本の輸入価格は、短期的には0.55%上昇し、長期的には0.99%の上昇、すなわち完全なパススルーとなる。食品、原料、繊維、製造、機械など個別のセクターレベルでも大きなパススルー効果が確認できた。分析によると、この大きなパススルー効果は主に、中国が元についてドル・ペッグ制を採っていることと、ドルを対日輸出の主要なインボイス通貨としていることによる。インボイス通貨という要素を管理した後、2005年7月以降に進んだ元の高騰が日本の輸入価格に反映されたという証拠は、全体レベル、各セクターレベルとも確認できなかった。
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