研究課題として取り組んだ経済モデルは(1)国民の環境改善、省エネに対するコンセンサス(2)長期的な規制(3)規制と調和するインセンティブ(4)地域間の競争を組み合わせたモデルであるという仮説を同研究の集大成として纏めた論文『低炭素経済実現のためのビジネスモデル』が、中国、ドイツ、アメリカ、韓国、日本における20に及ぶ学会報告でこの分野の有識者の賛同を得られたことでほぼ実証された。この論文の中で、2009年より日本において進行した地上デジタル放送への移行が規制として働き、偶然同時期に導入されたエコ・ポイントが組み合わされ、非常に大きな効用が得られたテレビが他のどの環境対応商品よりも抜きんでて販売を伸ばしたという事実が上記仮説を裏付けることとなり、学会での承認に繋がった。 但し、当初予定した具体的な技術による中国における実証実験は、天津Smart Cityに目標が絞られたが、知財保全の保障の壁が破れず、北京大学、清華大学、ハルビン工業大学等の中国のこの分野の研究者の支援や、三菱地所、協和機設他日本企業の協力が得られたにも拘わらず、知財保全という壁が越えられず、実証実験には至らなかった。 しかし、昨年度忠南大学(韓国太田)及び明治大学において開催された学会においては、天津大学、西南交通大学、南開大学、武漢大学の代表が上述の経済モデルに強い関心を示し、それぞれの地域で実施している廃棄物の回収や省エネの活動に同様の経済モデルの有効性が見られることや、理論化されたモデルを積極的に取り入れて行く意向を示したことは、本研究の成果として上げることが出来る。
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