研究課題
米国および我が国の低費用航空会社の競争行動と、それらがもたらした国民経済的効果を、寡占経済理論並びに計量経済学的手法を用いて明らかにした。競争行動の分析については、推測的変動係数の推定を行った。かつてその手法の是非がJournal of Econometrics誌など、海外誌で議論されたことがあった。しかし今回の研究において、その有用性を再び立証することに成功し、その成果がPacific Economic Review(20105月刊)に掲載されることとなった。分析の具体的な内容については以下のとおりである。米国の場合、低費用航空会社は、新規参入の時点で、いわゆる完全競争水準の価格設定で参入し、既存の航空会社も報復行動として同じ水準の価格を設定する。しかし、競争開始後年数を経れば、徐々に価格水準を上方に修正する。その水準は、クールノー競争価格水準と完全競争価格水準の中間に位置することが判明した。また、競争による総余剰の増加は著しく、特に消費者余剰の増加が国民経済の水準向上の原動力となっていることが確認された。日本の場合も、ほぼ同様の価格変動の形態を示した。しかし、日本の場合は、競争がしばしば容易に終息することが判明した。その際、競争終了後に、競争開始前の水準よりも高い水準に価格が修正されることが判明した。その結果、競争導入により、必ずしも長期的にはプラスの経済効果を生まないこともある売ることが判明した。
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