研究課題
(1)米国航空産業の横断面データおよびパネルデータを用い、低費用航空会社と既存の大手航空会社の競争行動を、寡占経済理論における推測的変動を推定する手法で明らかにした。特に、横断面データを使用しながらも、低費用航空会社参入後の時間効果を推定する計量経済学的手法を構築し、その成果がTransportation Research Eの2011年5月号に掲載される予定である。具体的には、低費用航空会社の参入後に一時的に大変市場が競争的になり、その後も競争が持続されるケースと、脆弱な財務体質の低費用航空会社の場合は競争が終息し、運賃競争が終息することが判明した。また、低費用航空会社の参入による経済厚生水準の変化を分析したことも、上記の雑誌に高く評価された。基本的には、大手航空会社の利潤は減少するものの、消費者余剰は大幅に増加、かつ低費用航空会社の利潤もプラスとなり、社会的余剰は改善されたことが判明した。(2)日本の新規航空会社(エアドゥ、スカイマーク、スカイネットアジア、及びスターフライヤー)の参入による競争行動と経済効果に関し理論的・実証的研究を行った。具体的には、米国の事例同様、参入の初年度は激しい運賃競争が行われたけれども、3年目からは運賃が元の水準以上に上昇する例も観察された。そのような市場では、参入後のトータルの社会的厚生は逆にマイナスになることが観察された。一方で東京札幌、東京福岡等の大規模な路線では消費者余剰が大幅に増加したことが確認された。この成果はPacific Economic Review誌に掲載された。なお、上記2つの成果は、2009及び2010年の世界航空輸送学会(ATRS)において報告を行っている。
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Pacific Economic Review
巻: 16-1 ページ: 103-119
ATRS(2010), proceedings, Porto.
ページ: 1-14
国民経済雑誌
巻: 202巻5号 ページ: 81-91