研究概要 |
平成22年度には以下の研究成果が得られた 世界貿易機関(WTO)のドーハ・ラウンドにおいて現在交渉が行われている漁業補助金に対する新たな補助金規律が漁獲量や資源の保全に与える影響について,前年度に行った理論分析の結果をRIETI Discussion Paper No.10-E-023として公表した.その分析をさらに拡充した上で,査読付英文学術専門誌に論文を投稿し,審査中となっている.この論文では,漁業従事者の漁獲努力の選択や離職の可能性をモデル化して分析した結果,国の条件次第で漁業補助金の削減がむしろ漁獲量を増加し,漁業資源ストックの減少を招く可能性を示した. また,ワシントン条約による国際取引禁止の可能性が漁業資源等の管理強化に与える影響に関してゲーム理論を用いた分析を行い,その可能性が実際に漁業資源の管理強化につながるという暫定的な結果を得た.この分析結果について国内の研究会で報告を行い,他の研究者から助言や意見を得た.これについてはさらに分析を進め,平成23年度に論文の改訂を行っていく. さらに,消費後も消費者がその品質を認識できない「信用財」に対するエコラベルが貿易に与える効果を理論的に分析した.エコラベルの導入がラベル付けされた財とそうでない財に対する消費者の「認知レベルの品質」に与える影響に着目し,エコラベルの導入によって国内財と輸入財の品質がどのように変化するかを明らかにした.分析結果は論文にまとめ,査読付英文学術専門誌に投稿し,現在審査中である.
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