研究概要 |
本年度は次の2本の論文を発表した。1.Market size, location of firms and economic welfare. 2.optimal tariff policy with endogenous location choice.1はreview of international economics,2はinternational journal of development and conflictという査読付き国際学術誌に掲載された。特にreview of international economicsは国際経済学の分野に置いてtop journalの1つとされている。 1は一定数の寡占企業が2国、地域を移動するモデルを構成した。2国は需要の大きさが異なっている。企業は2国の内いずれかのみに立地できる。このような一定の企業が複数国に立地を決める中期モデルは分析した研究はほとんどない。中期モデルの現実的重要性を考えれば、論文1の意義は高い。企業が自由に2国間を移動し、それ以上立地を替えるincentiveがない状況を均衡立地を定義する。また2国のconsumer surplusとproducer surplusの和であるworld economic surplusを最大にする企業の立地パターンを次善立地と呼ぶ。この時、均衡立地では需要規模の大きい国に企業が過剰に立地することが示された。また、2国の需要が等しい場合には均衡立地が次善的に効率的であることをしめした。論文2では自国と外国の2国モデルと自国に本社がある2多国籍企業モデルを分析した。つぎの3段階ゲームのsubgame perfect Nash equilibriumを求めた。1.外国政府が関税率を決める。2.2企業が自国か外国にplantを建設する。3外国市場で2企業がクルーノー競争を行う。企業は外国に輸出すれば関税が、直接投資をして外国で生産すれば、固定費用がかかる。外国政府は関税率が立地パターンに影響することを考慮して経済厚生を最大にする関税率を決める。直接投資を世界経済の開放度のパラメーターと考えれば、均衡に置いて開放度が上昇しても必ずしも企業は直接投資を行わないことが示された。また、均衡においては1企業が直接投資をもう一つの企業が輸出をおこなう非対称均衡が現れないことを明らかにした。
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