日本と東アジア諸国の地域経済の活性化、雇用と所得の向上という視点から、クロスボーダーな金融・資本市場の構築と金融協力さらに通貨統合の可能性を理論・実証分析するのが、本研究の目的である。このため、本年は文献サーベイとデータベース整理、また内外の政策担当者・研究者に対するヒヤリングを実施する計画を立てていた。計画通りの実績を収めることはできなかったが、それでも、文献やデータをかなりの程度収集し、若干の成果を報告することができた。 岸は、東アジアのクロスボーダーな債券市場と東アジア諸国の地域金融システムのリンクを考察するため、日本と中国の金融改革と地域金融システムの整備の進展度を検討すると共に、共助社会の役割を考察して、『商学論纂』(中央大学商学研究会)や26^<th> Conference of the American Committee for AsianEconomic Studies (ACAES)で発表した。 一方、後藤は、主成分分析を用いて、アジア(ASEAN)とアフリカ(East African Community (EAC))の金融統合の前提条件の程度を比較することによって、ASEANもEACも共に最適通貨圏の条件をかなりの程度満たしているという結論を導き、The Conference on Ethnic Diversity and Economic Instability in Africa : Policies for Harmonious Developmentにおいて報告した。 また、後藤も岸も上述の国際会議に参加することによって、それぞれのテーマにつき内外の研究者・政策担当者と意見を交換し、今後の研究につなげることができた。
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