研究概要 |
従来の産業組織論では、賃金のような要素価格が完全競争的に決定されるという仮定を基に、寡占的生産物市場の議論を展開しているが、一般的には生産要素市場は完全競争の仮定を満たしていないため、企業利益マージンを議論する際、要素市場特有の事象を組み入れることが必要となってくる。一方、労働経済学では、不完全競争下での労働市場を議論しているものの、生産物価格が完全競争的に決定されるとの非現実的な仮定を前提にしている。本研究では、このような議論を踏まえ、日本の製造業における労働市場での不完全競争のもと、企業マージンを実証的に分析する。まず、DRAM産業において、learning-by-doing, knowledge spilloverや規模の経済の影響を考慮しつつ、企業マージン、市場支配力とプロダクト・ライフ・サイクルの動学的関係を実証研究し、論文"Dynamics of Market Power over Product Life Cycle : The Case of the DRAM Industry"(Kim, Yoshioka, and Kakinaka, mimeo)としてまとめた。さらに、日本の製造業1633社を対象に企業成長と収益性の相互関係についての実証分析を行い、論文"Dynamics of Firm Growth and Profitability : The Case of Japanese Manufacturing Firms"に纏め、査読付国際専門雑誌に出版した。
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