研究概要 |
平成23年度において当初の研究目的と研究計画に従い、主に以下の二つの問題を取り上げて研究を行った。 まず、これまでの研究成果を生かして、計量モデルの整備を行い、日米中の対外資金循環の構造的要因、循環的要因、その他の要因を精査し、世界的不均衡の発生と調整のメカニズムを検証したうえで、マクロ経済調整と金融政策の運営を結びつけ、貯蓄と投資、輸出と輸入、国際資本流入、国内資本流出、為替レート、外貨準備増加などの経済変数の構造変化と影響力を推計した。 国際資金循環計量モデルの理論構造と実証分析に関する研究は8月21-26日にアイルランドで開催された58 the World Statistics Congressで発表し、その研究成果を論文として公表した。 また、国際資金循環のメカニズムに基づき、IMFから公表されたFinancial Soundness Indicator(FSIs,2006)などを参考にし、対外資金循環の傾向的な変化とリスクを反映する統計観測体系を試作したうえで、中国が直面している金融危機の圧力を検討し、金融リスクを反映する金融安定指数を開発した。その研究成果は2011年9月に開催された経済統計学会全国総会で研究発表を行い、経済統計学会誌で特集論文として公表した。
|