研究課題
本研究は中国の地域間格差について、比較的研究の遅れているノンパラメトリックな手法を用いた研究を行っている。本年度の成果としてはまず、これまでの研究の仕掛かりをまとめ、ワーキングペーパーなどに発表した。1つは地域間の物流動向を鉄道の出発地-目的地(O-D)表を用いて分析したもので、物流動向の変化が地域間の所得格差ほど大きく変化していないことを示した。また、中国の産業構造の変遷を簡単な指標を用いて分析し、産業構造と地域間の所得格差との関係を解明した。さらに、江蘇省の事例を用いて市、県レベルでの地域間の所得格差が完全になくなるために必要な人口移動数を推計し、人口移動政策の実現可能性について分析した。次に、以前ワーキングペーパーで発表した研究の一部が査読誌に掲載された。1つはマルコフ連鎖を用いた人口移動と地域間格差に関する研究で、人口移動が特定の省に集中することで格差を縮小させることが可能であることを示した。また、中国の上海市、江蘇省、浙江省の3地域に集中した分析では、江蘇省が二極分化傾向を示したものの、3地域を1つの大きな地域(長江デルタ地域)としてみた場合は格差が縮小する可能性があることを示した。最後に、本研究の内容とは直接関係しないが、研究協力者との共同研究も一部査読誌に掲載されるようになった。これは地方政府の投資性支出が住民の消費行動にどのような影響を与えるのかを実証的に分析したものである。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
ICSEAD Working Paper 2011-01
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ICSEAD Working Paper 2011-05
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