研究課題
本研究は中国の地域間格差について、比較的研究の遅れているノンパラメトリックな手法を用いた研究を行っており、一部格差是正に向けた経済モデルの開発にも取り組んでいる。本年度の成果としてはまず、これまでの研究の仕掛かりをまとめ、ワーキングペーパーなどに発表した。1つは中国の広西壮族自治区と雲南省の地域間格差を省レベルデータと県レベルデータに分けて分析したものである。省レベルにおいて、上記2省の様々な経済指標が中国の平均以下であることを示した。また県レベルにおいて、上記2省のカーネル密度関数による経済構造が似ている部分もあれば異なる部分もあり、異なっている部分の主な要因は市場経済の浸透によるものであると指摘した。もう1つは格差是正に向けた経済(シミュレーション)モデルの開発である。そのうち、上海市、江蘇省、漸江省に関するモデルでは労働者が地域別、産業別に移動が可能である点が特徴で、労働者が複雑に移動することにより、格差改善が困難であることを示している。一方で、中国の都市部の格差においては、労働価格(賃金)の格差を是正する方向で単純に労働者が移動する結果、カーネル密度関数による格差構造が改善することを示している。次に、以前ワーキングペーパーで発表した研究の一部が査読誌に掲載された。1つは地域間の物流動向を鉄道の出発地-目的地(O-D)表を用いて分析したもので、物流動向の変化が地域間の所得格差ほど大きく変化していないことを示した。また、中国の産業構造の変遷を簡単な指標を用いて分析し、産業構造と地域間の所得格差との関係を解明した。最後に、本研究の内容とは直接関係しないが、研究協力者との共同研究も一部査読誌に掲載されるようになった。1つは中国農村地区における食品消費需要の推計で、もう1つは中国農村地区における消費格差の研究である。
すべて 2012 2011 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) 備考 (2件)
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