研究課題
本研究は、エジプトの地域社会における相互扶助慣行をミクロレベルで実態的に解明する。具体的には、都市と農村において世帯・個人を対象に様々な相互扶助慣行に関する社会調査と実証分析を行い、エジプトの地域社会における生活保障のメカニズムを検証することを目的とする。その具体的作業として、今年度は、昨年度に引き続き、エジプトの西部砂漠(リビア砂漠)における村落を対象に、農業労働・農業共同耕作慣行・水利慣行に関する調査を行った。そして、調査結果をもとに、農業における相互扶助慣行について分析作業を行った。また、カイロについては、農村出身者の同郷組合を対象にした聞き取り調査を実施した。それによって、カイロの都市下層地区における町の成り立ちや、同郷者間の相互扶助慣行の歴史と実施状況に関する質的な情報を収集することができた。その成果は、日本中東学会年報(AJAMES)においてVillage Association in Cairo:A Study on Urban-Rural Relationship in Egyptとして発表した。さらに、相互扶助慣行の参加者を対象にした調査を実施するための準備段階として、昨年度に引き続き、そのベースとなる2005年に実施された世帯調査データを多角的に分析する作業を行った。その成果は、村民の社会関係については「エジプトの村落地図」として、村民の血縁関係については「エジプト農村の世帯・家族構造」としてまとめて発表した。
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